月刊看板 / 別冊看板-8 / 発行 99.10 | |||
別冊看板 第8集 ホーローが伝えるトタン |
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ある製品を広告するホーロー看板が伝えようとしたことは… 残暑のまだ厳しい9月中旬の福島県会津地方。車体の側面に「BANETSU LINE 455」と書かれた急行形交直流両用電車455系「快速ばんだい号」で喜多方のホームに降り立った。 喜多方は蔵の街、ラーメンの街として全国的にも知られているが、駅を降り立つと派手派手しい観光地という感じもなく、地方都市の郊外によくありがちな町並みである。だがこのような場所こそ、数多くのホーロー看板に出会うことができる。 過去に旅した街を思い返すと、観光地を前提として地域開発をする街にはホーロー看板をはじめとする野外広告を見かけることは少ない。 生活感が漂ってくる町というのは、どこか雑然としていて(これをカオス的というのだろうが)、それでいて活気が伝わってくる。訪れても面白い。もちろん看板類も多数生息している。人が多く行き来する場所に野外広告が設置されるのだから当然といえば当然なのだが、看板が多くある町というのはやはり活気があって面白い。 喜多方は蔵作りの民家が建ち並ぶものの、観光客に媚びた開発をしていないのがいい。洋品店、自転車店、金物店、味噌醤油販売店などが並んでいる国道459号線を歩いているだけでも楽しいが、昼間から酒蔵で利き酒をしたり、さっぱりとして澄んだ醤油スープのラーメンをすすって旅を満喫する。食後、再び459号線を歩いて目にしたのがこの金物店。屋根瓦、土壁の造りもさることながら、建物の脇にさりげなく並んでいるホーロー看板に注目。 影になっている部分があり恐縮だが、右から順に月星印トタン板、マルエス亜鉛鉄板、川鉄トタン板のホーロー看板である。金物店ゆえのラインナップだ。 金物店からさらに喜多方駅方面に歩くと、建築設備材料店を目にする。倉庫兼店舗の屋内に2枚のホーロー看板を発見する。 ちなみに、となりのエハラポンプはポンプ機器の大メーカー、荏原製作所の主力商品である。面白いのは、社名ロゴが「ebara」となっているにもかかわらず、「エハラポンプ」と「ハ」に濁点が付いていない点にある。 取材・調査・撮影1999.9
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