▼遠野駅ホームにて / 材質:プラスチック
釜石線のディーゼルカーから降り立った私の目の前に、このプレートはあった。ドアの位置を示す乗車口案内板に市のマスコットマークが印刷されているのだが、町のイメージキャラクターをこうした場面で使用するのは珍しい。
が、さりげなく使っているところに好感が持てる。
早池峰(はやちね)山に至る県道をレンタカーで走っていたところで見かけたのがこれ。
交通標識でいうところの「落石注意」とは、「石が崖の上から落ちてくるから気をつけろ」なのか、「落ちた石が道路にあるから気をつけろ」なのかで解釈が分かれるところ。
あまりのかわいさに落石の恐怖を忘れさせてくれるのも束の間、写真を撮っている間に崖の上から「カサカサカサ…」と砂が降下してきたので慌てて撤収。
遠野市上附馬牛(つきもうし)町にて / 材質:鉄板塗装
▼遠野市土淵町山崎にて / 材質:プラスチック
男性のシンボルに似た石を御神体にしている「山崎の金勢さま」近くに流れる川沿いで発見したのがこれ。明らかに遠野市が立てた標識、看板なはずだが、「岩手県」とある。河川の管理は国と県で行っているためにそう名乗っている。
本来のカリンちゃんはリンドウを持っているが、このパターンは「幟端ヴァージョン」の珍しい形。
▼遠野市大工町下早瀬橋にて / 材質:スチール表面焼付
こちらは猿ヶ石川堤防のサイクリングコース付近で見かけたもの。カリンちゃんと宮守村のマスコットキャラクター「ミーくん」が仲良く自転車に乗っている標識である。
2007年に遠野市と宮守村が合併し、新・遠野市が誕生したが、両市村にはそれぞれのマスコットキャラクターが用意され、合併の際にこれらのキャラクターをどう扱うかについて一部議論があったそうだ。
結局、キャラクター部分はカリンちゃんを引き続き使用することになったが、キャラクターの背景に描かれているリンドウは旧宮守村の花であるヤマユリに、南部曲がり家が釜石線の眼鏡橋に変更された。カリンちゃんの名前の由来は…という心配は余計かもしれない。
近頃は以下の映像のような着ぐるみも作られ、市内のイベントに限らず、県外のイベントにも姿を見せている。映像は2009年6月、大宮駅(埼玉県さいたま市)のイベントで目撃されたカリンちゃんの姿を記録したものである。
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川沿いにある標識は結構恐いものが多くて、「おちるときけん」などと書かれているものは大抵、カッパが子供を川底に引きずり込むなどの悪役をつとめる。しかしカリンちゃんは市内随所に配置され、カッパを恐いイメージではなく、ユーモラスな存在として位置づけているようにも思える。
取材:1998.3.25〜28、2008.6.12、2009.6.28