1999年4月3日
4月1日の朝日新聞政治面に面白い記事が載っていました。
「首相、外国人閣僚を登用」
総理大臣はなかなかすごいことを考えるな、と思いつつさらっと流してしまったのですが、次の日になってエイプリルフールのウソ記事だということがわかって思わずびっくりしました。
4月1日にジョーク記事、大ウソ記事を掲載するのは、外国の新聞がよくやることで、向こうの方がかなりキツ目の記事を大ウソで書きます。記者たちの主張、願望がこの記事のなかにチラリと見えるのが面白いです。読者もここら辺のところはわきまえていて、「今年はどんなウソをついてくれるだろうか」と期待することの方が多いとのことです。
ところが、日本だとやっぱり来るんですよね。文句が。
「公器の新聞にウソを載せるとはけしからん!!」
と。まぁ、たしかに他の事実(だと思う)を載せた記事に紛れてウソ記事があるわけですから、一目見ただけではわかりません。ウソ記事をさらりと流してしまうところでふと気づくんですね。
「新聞に載るとなんだか本当ぽく見える」と。
それが逆にクセモノなんですね。ウソも本当ぽく見えてしまうからです。むしろ、ウソと本当は紙一重みたいなものです。もっともらしく書いていれば、信じてしまっても無理はありません。人間、どこかに信じ込んでいるものがあるから生きていけるんだろうな、と思います。
それゆえに、くやしいんですよね。「ウソを知らず知らずに信じ込んでいる自分」に気づくことが。だからウソをついたところに文句をつけるわけです。でも「自分はそんなウソにだまされないよ」と思っていても、ちょっとしたスキに忍び込んでくるものなんですね。むしろ「これは正しい」と信じているものほど疑わしいものはないのです。私たちの身の回りにはそういうものがたくさんあります。
エイプリルフールって、「ウソを知らず知らずに信じ込んでいる自分に気づく日」なのではないかと思います。この機会に自分が「これは正しい」と信じているものを疑ってみてはどうでしょうか。
でも何もかも疑いすぎて気を狂わせないように気をつけて下さいね。